本記事は、Sift Science, Inc.のBlog記事「New Q2 2025 Data Available in Sift’s Fraud Industry Benchmarking Resource (FIBR)」を日本語に翻訳したものです。
本記事の著作権は、Sift Science, Inc.および同社の国内パートナーである株式会社DGビジネステクノロジーに帰属します。
Maria Benjamin 著 / 2025年7月25日

急速に変化する不正手口に先手を打つには、最新のデータを常に把握する必要があります。Siftの業界別不正対策ベンチマークリソース「Fraud Industry Benchmarking Resource(FIBR)」に2025年第2四半期の最新データが追加されました。しきい値の見直しやワークフローの調整などを行う際の判断材料として、各種決済手段や業種、攻撃手法ごとの不正傾向を明確に把握できます。
ここでは、最新データが示す不正の動向と業界ごとの影響について解説します。
主なポイント
- 決済不正率は全体で3.5%と横ばい。ポイント決済が全決済手段の中で最も高い4.8%の不正率を占めています。
- チャージバック率は大幅に改善され、全体のチャージバック率は前年比で28%減少。チャージバック不正は58%と顕著に低下しました。
- アカウント乗っ取り(ATO)は2.5%と微増。2FA(多要素認証) の普及率は13%と横ばい。
- インターネット&ソフトウェア業界は、チャージバック率が劇的に減少したもののアカウント乗っ取り(ATO) は前年比で17%増加。
- 旅行&チケット業界は季節要因と連動し、決済不正とチャージバックの両方が四半期ベースで増加。
- フード&デリバリー業界は不正試行が前年比24%増と急増。一方でチャージバックは47%減少しました。
2025年Q2時点での全体傾向
決済不正
第2四半期の決済不正は3.5%と比較的安定しており、前年比でわずか2.8%の減少にとどまりました。不正決済のうち82.8%がクレジットカードとデビットカードであり、依然として最も悪用される決済手段である一方で、ポイント決済が最も高い不正率4.8%を記録しました。
チャージバック
チャージバックは大幅に改善しました。全体のチャージバック率は前年比で28%減少し、2024年第2四半期の0.29%から0.21%に減少。チャージバック不正も0.24%から0.10%と58%減少しました。これらの改善は、不正検知の精度向上と、紛争解決プロセスの強化が功を奏している可能性を示しています。
アカウント乗っ取り(ATO)
全体のアカウント乗っ取り(ATO)は、2024年第2四半期の2.4%から2025年第2四半期の2.5%へと、4%増加しました。一方、2要素認証(2FA)の普及率は13%で横ばいとなりました。
業界別のトレンド
不正の様相は、業界や立場によって大きく異なります。ここでは、2025年第2四半期における主要な業界別のトレンドを見ていきましょう。
インターネット&ソフトウェア業界
第2四半期の決済不正率は前年比で5%減少、4.0%から3.8%と改善しましたが、四半期ベースでは3.3%から3.8%と、15%増加しました。これは、季節要因やサービス拡大に伴う新たな不正パターンの登場が影響している可能性があります。
チャージバックは大幅に改善しました。
- 全体:前年比67%減 (0.52%→0.17%)
- チャージバック不正:前年比74% 減 (0.46% → 0.12%)
一方で、アカウント乗っ取り(ATO)率は3.0%から3.5%に上昇し、前年比で17%の増加となりました。同時に、2FA(多要素認証)の普及率もわずかに低下し、10%となりました。考えられる要因として、低リスクユーザーのセキュリティを維持しつつ、UXを優先した「シームレスログイン」の導入が進んだことが挙げられます。
旅行&チケット業界
例年と同じく、季節的な傾向を反映した不正パターンが見られました。決済不正率は前年比で20%減少(6.9%→5.5%)したものの、四半期ベースでは10%増加しました。これは、夏の旅行需要が影響していると考えられます。
チャージバック率はまちまちでした。
- 全体:前年比で21%減 (0.19%→0.15%) 、四半期ベースでは 15% 増加 (第1四半期の 0.13%から0.15%)
- チャージバック不正:前年比で31%減、四半期ベースでは62%増加
ピークシーズンは特に予約、キャンセル、紛争対応が同時多発的に発生するため、注意必要です。
フード&デリバリー業界
決済不正は前年比で24%増(3.3%→4.1%)、四半期ベースでは32%増と、顕著な増加傾向が見られました。季節的なイベントと、デジタル注文・配達の利用増加が要因と考えられます。
一方で興味深いことに、全体的なチャージバック率は前年比で約47%減(0.094%→0.050%)と大きく改善しました。不正攻撃は増加しているものの、より高度な不正検知と対応スピードの向上によって紛争を抑えられていることを示しています。
FIBRとの連携方法がさらに拡充
FIBRは現在、 誰でも無料で利用可能な公開リソースで、業界ごとの不正ベンチマークを提供しています。
さらにSiftのユーザー向けには、一般公開されているFIBRに加えて、SiftコンソールやSiftersコミュニティからも閲覧することが可能です。業界別の注文金額の中央値や不正注文額の傾向、チャージバック理由の分類など、より詳細な指標が利用できます。Siftコンソールにログインし、「Insights」にアクセスすることで、Siftユーザーは誰でも自社のFIBRレポートにアクセスすることが可能です。
不正インサイトに関する詳しい情報については、FIBR をご覧ください。
